後悔と懺悔の生きもの

2019.12.19

SONY α7S / MINOLTA M-Rokkor 28mm F2.8

いつもスミマセン、そう毎日謝って暮らすのは辛い。謝ることが何より好きなM系の人は別として、できれば謝ることのない日々を歩みたい。そもそも、人に謝ることが大嫌いだ。謝る必要のある状況に身を置いた自分自身にがっかりしてしまうからだ。職業柄、仕事のフローで誰かに謝罪する機会は割と少ない。どちらかと言えば、お金をいただいて褒められる幸せな職業である。20代から30代の前半までは、打ち合わせによく遅刻をして謝った。毎度毎度謝りつつ、いい仕事してんだから待たせて当然だという傲慢さがあってすまないという気持ちは微塵もなかった。少し大人になって、待たせることは人の時間を確実に奪うし、謝罪からはじまる打ち合わせで損をするのは自分だという、子供でもわかりそうなことに気づいてから約束の時間に遅れることはなくなった。とは言え、人に謝るべきことが何もないわけではない。

SONY α7S / MINOLTA M-Rokkor 40mm F2

SONY α7S / PENTAX Super Takumar 55mm F1.8

思えば、家族や友人に対して謝らなければならない後悔だらけの人生である。酒に酔ってひどい絡み方をしたことも沢山あったし、冷たい態度で大切な人を傷つけたことも数え切れぬほどあった。あの時は本当にすまなかった、そういう思いも今となっては伝えることができる人とそうでない人がいる。会って過去を懺悔することができない人への思いは、深い傷となって自分の中で錆びていく。超能力でもない限り、過去に戻ってやり直すことはできない。変えられない過去を嘆くより、なるべく後悔しないよう現在を生きるしかないのだ。

人との付き合いに後悔はつきものだが、写真との付き合いでは幸運なことにあまり後悔することがない。機材の選択や過去撮ってきた写真について、ああすればよかった、こうすればよかったと、悔しい思いをした記憶がほとんどない。ビジネスではない撮影の場合、よっぽど倫理に触れるものを撮らない限り他人に迷惑をかけることがないからかもしれない。

SONY α7S / MINOLTA M-Rokkor 40mm F2

SONY α7S / MINOLTA M-Rokkor 40mm F2

SONY α7S / MINOLTA M-Rokkor 40mm F2

SONY α7S / MINOLTA M-Rokkor 40mm F2

SONY α7S / MINOLTA M-Rokkor 40mm F2

SONY α7S / CANON 50mm F1.8 II

SONY α7S / MINOLTA M-Rokkor 40mm F2

SONY α7S / PENTAX Super Takumar 55mm F1.8

もちろん、反省点がないわけじゃないが、写真との時間は気に入った機材や自分の感性にどれだけ没頭して撮影を楽しむか、それがトッププライオリティだと思っている。自画自賛、自意識過剰で何が悪いというのだ。人の撮った写真をああだこうだ言うのは少しくらいにして、自分が過去に撮った写真を何度も何度も見直して、いい部分や悪い部分をあぶり出していく。100枚中1枚でも、普段露見することのない自分の中の非凡な部分を見つけることができると「やっぱり俺ってすごいな」という果てしのない自己満足感に浸れるのである。僕の先輩で惜しげもなく口に出して「やっぱり俺ってすごいな」と話す人がいるが、できればそういう言葉は口に出さずに心の中でつぶやく方がいいだろう。撮った写真がどこをどう見ても平凡な写真だったとしても、例え誰ひとり賞賛してくれなくても、対人関係と違って写真の世界は優しく許容してくれる。

LEICA M Typ240 / PENTAX Super Takumar 55mm F1.8

LEICA M Typ240 / PENTAX Super Takumar 55mm F1.8

LEICA M Typ240 / LEICA Summicron 50mm F2.0 Collapsible

LEICA M Typ240 / MINOLTA M-Rokkor 28mm F2.8

LEICA M Typ240 / Voigtlander NOKTON Classic 35mm F1.4 SC

SONY α7RII / PENTAX SMC Takumar 200mm F4

SONY α7RII / Voigtlander NOKTON Classic 35mm F1.4 SC

OLYMPUS PEN-F / OLYMPUS M.ZUIKO 25mm F1.8

花の写真10:OLYMPUS PEN-F

OLYMPUS PEN-F / Voigtlander NOKTON Classic 35mm F1.4 SC

このブログをはじめた頃に使っていたOLYMPUS PEN-F、2018年にメインにしたSONY α7RII、2019年に手に入れたLEICA M TYP240は、機材買い替えのために売り払ってしまった。長く付き合っていこうと決めていたLEICA Mは、何の予告もなくやってきた老眼と視力低下に打ちのめされて、さよならを告げることに。LEICA MはM10やM9と比べても劣らないメリットがある。特にボディ上部のシンプルさは、惚れ惚れするものがあった。完全に視力が役に立たなくなって、眼鏡やコンタクトを使うようになったら、また手元にやって来るかもしれない。現在のメインは5年前に発売されたSONY α7Sで、店に行けば新しいカメラは死ぬほどあるのに、ボディの軽さ、グリップの小ささ、1220万画素という解像度の低さが気に入って快適に使っている。手ぶれ補正機能もないこの軽いフルサイズカメラに、MINOLTA M-ROKKORの40mm28mmの超軽量コンビを合わせると、素晴らしく快適なセットになる。ライカMマウントのアダプターも軽量な「Hawk’s Factory」を使う。

SONY α7S / MINOLTA M-Rokkor 40mm F2

僕に楽しい時間をくれたカメラたち。どれもこれもいい記憶として心に刻まれている。あんなに気に入っていたPEN-Fは、古い機種として既に量販店の実機は回収され、ライカを経験した今では再び触れたとしてもきっとチープに思えるだろう。過去とは、つまりそういうものだ。しかしカメラやレンズは所詮「モノ」なので、冷たい態度で終わらせたところで、ごめんなさい、ごめんなさいと、謝る必要はまったくない。人は… やはり厄介だ。懺悔のタイミングを失った関係は、心のどこかに深い穴を開けて残り続ける。それは色褪せず、風化せず、人知れずいつまでもあり続ける。

SONY α7S / MINOLTA M-Rokkor 40mm F2