花とペンズミ中毒

2020.07.23PHOTOGRPH and WOLF

OLYMPUS PEN-F / LEICA Summicron 50mm F2.0 Collapsible

好きなことを、好きなときに、好きなだけ。誰もが夢見る「好きなだけ」を、一体どれほどの人が手にしているだろうか。ミニカーとポテチがあれば幸せだった幼い子供が、やがてセックスとオナニーの回数に夢中になる青年に成長し、社会の矛盾とおのれの限界にボッコボコにされていい面構えになってくると「やりたいこと」は「やるべきこと」に圧倒されて影を潜め、好きなことはたまにしか巡ってこない特別なものになってしまう。子供の頃知りもしなかったことを、大人になって知ってしまったばっかりに身近なものに喜べないという弊害もあるだろう。男も女も成長するにつれ、純粋さや感性が退化していくものである。知らず知らずのうちに自分にとって「好きなこと」は、社会にとって「価値のあること」にすり替えられていく。そして多くの場合、手に入れることができない商品や体験を前にして、我々がつぶやくのは「もう少し金があったらなぁ」だ。

好きなものを好きなだけ、をモノにするためには少々謙虚さが必要だ。ハイスペックを過剰に求めることなく、いつでも手に届く距離に「好きなこと」を置いておくのがいい。最近は感染症のお陰で遠方に写真を撮りに行けてないものの、有り難いことに僕の手元にはペンズミという強い味方があってマクロ撮影にハマっている。ペンズミとは、オリンパスPEN-Fとライカ沈胴ズミクロン50mmを組み合わせた状態のことを僕が勝手に呼んでいる呼び名のことで、これに10mmの接写リングを組み合わせたコンビがなかなか良くて、ちょっとした中毒になっている。(参照:ズミタクマクロ)沈胴ズミクロンは風貌も描写も安定からはほど遠い性格のレンズだが、F4以上絞ってやるとなかなか紳士的な絵を出してくれる。と言ってもそこは1954年のオールドレンズ、現代のレンズのような精密でカリカリな描写を期待するレンズではない。あくまで肉眼で見たものを忠実に再現しようとして選ぶレンズではない。だからこそ逆に、忠実な再現を求める欲望をさっさと捨てしまい、レンズ性能に頼らず自分の感性で撮影に取り組むようにする。raw現像もなるべく大胆に。コントラストを写真によって値を変え、鮮明さを出す「明瞭度」は、あえて下げてしまう。

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近所をフラフラ歩いて気になる花や植物があると、バシャバシャと気の赴くまま写真を撮る。上から撮ったり横から撮ったり下から撮ったり。これもいいね、こーゆーのもアリだね、と同じものを何枚も何枚も撮っていると、こういう撮影に終わりはないなと思ってしまう。1m以下の距離に寄りたかったらアダプターのヘリコイドを使い、もっと寄りたかったら10mmの接写リングを使う。PEN-Fの操作感も抜群で「チャッ」っという乾いたシャッター音も気持ちよくて、ついつい撮りすぎてしまう。防塵防滴でないカメラとレンズでも、マクロ撮影なら雨の日でも機材を濡らさず写真が撮れる。傘で被写体とカメラをすっぽり覆って撮影し、撮り終わったらすぐにカメラをショルダーバッグにしまう。ストロボを傘にバウンスさせて撮るのも面白い。マイクロフォーサーズで撮ると本来の画角を半分にトリミングしてしまうので、オールドレンズの欠落も半減する。遠景を撮るのは向かない気がするが、至近距離の撮影は悪くない。

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カメラメーカー各社が新製品を発表する中、新しいカメラに搭載される自動処理とか高画素とかそういうものを完全にスルーして、4年前のカメラと66年前のレンズの組み合わせに夢中になっているのは僕だけかもしれない。花や植物の近距離撮影は張り切って遠くに出かけなくても、その辺で楽しめるのがいい。ペンズミのマクロ撮影は本当に中毒性が高い。好きなことを好きなだけ。ペンズミに限らず、楽しいことはいつも手の中にある。