空の青 思い描く青空

2019.05.15

ライカと空の青00

LEICA M Typ240 / Voigtlander NOKTON Classic 35mm F1.4 SC

どうやら我々日本人は空の青が好きらしい。広告のデザイン表現でも、青空を要素に加えるだけで広告主の受けがいい。空や海を想起させる「青」が好まれる心理は何なのだろうか。気持ちよく晴れた日を願う、願望のようなものだろうか。僕らが目で受け取る情報の中で、色は大きな影響力を持っている。赤、青、黄、色が違えば印象が変わってしまうのは言うまでもないが、同じ青でも濃淡や色味によって印象はかなり違ってくる。

個人的には青の中にイエローが少し入った青色が好きだ。明るい色ならブルー・グリーンの少し手前くらい、濃い色なら少し彩度の下がった紺。その反対に赤みの強い青色があまり好きじゃない。RGBでしか再現できない乱暴に明るさと彩度を上げた水色など論外だ。しかし、残念ながらオリンパスでもソニーでもライカでも、撮った写真の空色は赤みを帯びていることが多い。ライカMのセンサーは国産カメラよりフニャチン野郎なので、場合によっては青紫かと思うくらい赤みを帯びることもある。だから空が写っている写真については、RAW現像で必ず青を色補正することになる。この毎度の調整が面倒で、いっそのこと初期設定にしておいてもいいくらいだ。赤みががった空の色が好きじゃないのは、どんなによく晴れた空でもその赤みによって不快な湿度を感じてしまうからだ。世界のカメラのほとんどは日本製のカメラなので、空色が赤みを帯びるのはグローバルスタンダードと言ってもいいだろう。

ライカと空の青01

LEICA M Typ240 / MINOLTA M-Rokkor 28mm F2.8

ライカと空の青02

LEICA M Typ240 / MINOLTA M-Rokkor 28mm F2.8

実際の空色はどうかと言えば、確かに少し赤みを帯びている。「やっぱり外国の空の色は違うねぇ」というのは昔よく言われてたことだか、日本以外の写真でも赤みを帯びた空の写真をよく見るので、海外だから空色が違うとは言い切れない。人種によって瞳の色が違うので見える色味も違いがあって、その違いが色再現の基準に違いを生み出し、色補正する時に多少なりとも作用するのかもしれない。フィルム時代には使うフィルムが色再現に影響を与えた。レンズの先につけるフィルターもそう。高いギャラのフォトグラファーや写真作家の場合は写真の仕上がりがプリントなので、印画紙の種類や焼き方が色再現に大きく関わってくる。作家特有の色合いは現像やプリントで味付けられた。しかしデジタルの場合では、金を払ってプリンターと呼ばれた職人に依頼しなくても、自分で色をコントロールすることができる。

ライカと空の青03

LEICA M Typ240 / MINOLTA M-Rokkor 28mm F2.8

ライカと空の青04

LEICA M Typ240 / MINOLTA M-Rokkor 28mm F2.8

ライカと空の青05

LEICA M Typ240 / MINOLTA M-Rokkor 28mm F2.8

ライカと空の青06

LEICA M Typ240 / MINOLTA M-Rokkor 28mm F2.8

ライカと空の青07

LEICA M Typ240 / MINOLTA M-Rokkor 28mm F2.8

ライカと空の青08

LEICA M Typ240 / MINOLTA M-Rokkor 28mm F2.8

ライカと空の青09

LEICA M Typ240 / MINOLTA M-Rokkor 28mm F2.8

空でも海でも、青色についてこだわりを持っている人の写真が好きだ。写真集やSNSでいいなと思える写真で、撮ったままの状態のものはほとんどない。僕自身も色補正せずに現像することはほとんどない。その一方で頑なにカメラが撮ったものを現像で調整しないという人が、プロ、アマを問わず意外と多いのは理解に苦しむ。例えば、出来事の内容がテレビやWEBというファクターによって伝えられることで、出来事は厳密な事実ではなくなってしまう。それと同様に写真も撮った瞬間から現実とは違うものになってしまう。そもそも事実を追いかける写真にどんな意味があるのだろうか?カメラが撮ったオリジナルが現実で、それはとてもいいものだと誤解してしまうのは、もしかして日本人に遺伝的に染み付いた何かが原因がかもしれない。

ライカと空の青10

LEICA M Typ240 / MINOLTA M-Rokkor 28mm F2.8

濃度の高い青空。繊細なグラデーションの青空。幻想的な青空。ちょっとした色再現や階調で、多様な顔を見せる。よく朝日や夕日がドラマチックだと賞賛されるが、太陽が真上にある青空も決して悪くない。はじまりの朝でも終わりの夜でもなく、1日の途中に頭上に広がる青空は、人生の途上にある自分のある種の感情を揺さぶってくる。身体の中心にドスっとくらうボディブローのような力強い青空が撮れると、なんだか少し元気になる。