過去との距離感

2018.08.21

作例01:PEN-F / M.ZUIKO 25mm F1.8

OLYMPUS PEN-F / M.ZUIKO 25mm F1.8

時間の感覚というのは不思議だ。同じ1日でも、長く感じたり短く感じたりする。楽しい時間はあっという間に過ぎる、というのは多くの人が体験していることで、常に一定の量を持っているはずの時間だが、その感じ方によって長さが違って思えるのは実に興味深い。

10代の頃は、僅か数年の違いで「新しい」とか「古い」とかを推し量っていた。ピンクレディーはどこか古臭く、おニャン子クラブは新しい。そんな風に思っていたが2018年の現在、どちらも対して違いはない。中高生の頃は、1つか2つしか歳の違わない上級生がえらい大人に感じていたが、オジサンになってみると10歳くらいの年の差なら「ほぼ同世代」だ。第二次世界大戦が終戦した1945年にしても、もの凄く遠い昔の出来事と思っていた。いまから73年前の出来事ということになるが、自分が44歳になってしまうと「あれ?そんなに遠い過去じゃない?」と思ってしまうのである。明治時代は約100年前、江戸時代は約150年前なので、チョンマゲに日本刀という鋭くファンキーな格好をしていた時代も結構最近なんじゃないの?と驚いてしまう。自分が50年近く生きてみると、それをたった3クールすれば江戸時代。おとぎ話のように感じていた昔の日本が、思いの外近く感じられて妙な気分である。

作例02:PEN-F / M.ZUIKO 25mm F1.8

OLYMPUS PEN-F / M.ZUIKO 25mm F1.8

作例03:PEN-F / M.ZUIKO 25mm F1.8

OLYMPUS PEN-F / M.ZUIKO 25mm F1.8

作例04:PEN-F / M.ZUIKO 25mm F1.8

OLYMPUS PEN-F / M.ZUIKO 25mm F1.8

日本の古民家を撮影するのは楽しい。茅葺屋根や囲炉裏での食事、といった古来の生活は経験ないので懐かしさを感じることは正直ないが、時代劇のセットのような非日常感が面白い。江戸東京たてもの園、川崎市立日本民家園、横浜三渓園など足を運べば日本の古民家を楽しめる施設が関東にも色々ある。

作例01:VoigtLander NOKTON Classic 35mm F1.4

α7R2 / VoigtLander NOKTON Classic 35mm F1.4

作例02:VoigtLander NOKTON Classic 35mm F1.4

α7R2 / VoigtLander NOKTON Classic 35mm F1.4

作例03:VoigtLander NOKTON Classic 35mm F1.4

α7R2 / VoigtLander NOKTON Classic 35mm F1.4

戦争によって華奢な木造建築はことごとく崩壊して、戦争に負けてあっさりと欧米風になびいた日本では、古い建築物に触れる機会が少ない。目まぐるしく経済成長して、様々な技術、様々な建築、様々な文化が毎年のように刷新され、昔のものは「遺産」のように世界の片隅に追いやられている。昔ながらの文化を大切に、そういう立派な精神は残念ながら僕にはないが、ヨーロッパのように数100年という単位で建築や道路が存在していると、長期的な時間軸の中で自分を認識することができるので、大昔から現在まで存在するものが日常的にある方が、精神は安定するのかもしれない。

作例04:VoigtLander NOKTON Classic 35mm F1.4

α7R2 / VoigtLander NOKTON Classic 35mm F1.4

OLYMPUS PEN-F / M.ZUIKO 25mm F1.8

自分が年齢を重ねることで、100年前、150年前がそれほど遠い過去ではないと思えるようになった。それでも古民家の写真を撮っていると、生活様式の劇的な違いに少々戸惑い、少々笑ってしまう。低すぎる天井、狭すぎる間取り、清潔から程遠い台所。それでもたった100年前、150年前の世界である。