日本人は写真が好きな人種だと思う

2017.12.27

M.ZUIKO 25mm F1.8

OLYMPUS PEN-F / M.ZUIKO 25mm F1.8

日本人は世界で無類の写真好きらしい。SNSがなかった時代でも、多くの日本人が首からカメラをぶら下げていた。どうして日本人が写真を好きなのか?その回答は諸説あるが、日本には優れた性能の国産カメラがあることが大きな要因だろう。低価格で高性能なカメラ。中流がメインのこの国では、裕福な家庭に生まれなくても性能のいいカメラを誰もが手にすることができた。過去を振り返って懐かしむのが好きだ、という日本人の性格も写真好きに多少影響しているのかもしれない。

僕が初めて手にしたカメラは、35mmハーフサイズの小型のカメラだったと思う。メーカーは何だったか記憶にない。親父から譲ってもらったアナログのカメラである。そのカメラで何を撮ったかなどまったく憶えていないが、生まれ育った千葉の田舎の風景や何でもない空を撮影したことだろう。時が経ち東京で暮らすようになって時々使うカメラは「写ルンです」に代表される使い捨てカメラで、社会人になってから使うようになった一眼レフは手軽なエントリーモデルで決して高いものではなかった。デザイナーという仕事柄、いままで数え切れないほどの写真を扱い、一流から三流まで様々なカメラマンの仕事を見てきた。僕の仕事では写真はデザインの一部であり、文字やイラストや図と同じくデザインを構成するものの1つでしかなかった。仕事で写真を撮る機会は多くない。本気で美しい写真が必要な時はプロフェッショナルに任せておけばいい。

PEN-F

OLYMPUS PEN-F / M.ZUIKO 25mm F1.8

メモ程度にしか写真を撮らなかった僕が、プライベートで写真を多く撮るようになったのは最近のことだ。仕事ばかりしてきて趣味と呼べるものは酒くらい。そう言えば季節を目で感じることなどなかったな、そう思って登山やカヤックをはじめるようになった。山に行き、海へ行き、ついでに写真を撮った。そんな時間を重ねているうちに、気がついたら写真を撮るのがメインになってしまった。いい写真が撮れそうかな?今日の空はいい光が期待できそうだ、そんなことを考えながら週末になるとカメラを持って出かけるようになった。どこかへ行って写真を撮り、自宅に帰ってraw現像して写真を整理する。その工程を何度も何度も繰り返していたら、2017年は人生で1番写真を撮った1年になった。

写真を沢山撮るようになったのは、コンパクトで使いやすいオリンパスのカメラに出会ったことが大きい。メーカーの人には申し訳ないが、以前はオリンパスのカメラについてフォーカスも遅くて使いにくく特にいいところもないというネガティブな印象を持っていた。しかし、その偏見はOM-D E-M10Ⅱを使うようになって払拭。OM-D E-M10Ⅱでの撮影があまりに快適なので、それまで仕事で使っていたキャノンとパナソニック、プライベートで使っていたソニーのカメラを処分して、OM-D E-M10Ⅱだけを使うようになった。現在ではクラシカルなルックスが気に入って仕事でもプライベートでもPEN-Fを愛用している。

Galaxy S7 edge

僅か数十年前まで写真は貴重な「情報」そのものだった。文字よりも多くを語り具体的な情報を伝えるメディアとして機能していた。映像が発達した現代では写真よりも具体的なものとして映像がそれに代わり、写真の存在意義は少し変化してきた。しかし、映像という写真よりも情報伝達に優れたメディアがある現代にあって、いまだに日本人がこよなく写真を愛するのは、目の前の情景を美しく保存したい、あるいは美しいものや感動した何かを自分の手で上手に切り取りたい、そういった美術的欲求があるからではないだろうか。