本来の姿とそこから見える景色

2018.07.10

VoigtLander NOKTON Classic 35mm F1.4 作例01

α7R2 / VoigtLander NOKTON Classic 35mm F1.4

50mmという画角がとても好きだ。見えるものすべてが映るわけではなく、余分なものを切り取った世界は心地いい。昔から各メーカーが注力していたようで50mmのレンズはとても多い。しかし、マイクロフォーサーズのカメラで50mmを使うと画角が100mmになってしまい、映る画角がとても狭い。マイクロフォーサーズ、特にオリンパスのカメラとレンズは軽くてコンパクトで、とても気に入っていて、これはもう生涯の友になるんじゃないかと思っていたが、50mmのレンズを50mmの画角で使いたいという欲求が抑えられず、α7R2を購入した。

VoigtLander NOKTON Classic 35mm F1.4 作例02

α7R2 / VoigtLander NOKTON Classic 35mm F1.4

ソニーαシリーズは、プロからカメラ女子に至るまで幅広いユーザーに使われているフルサイズカメラだ。ミラーのついた旧タイプのカメラが嫌いな場合、フルサイズのカメラを買おうとするとソニーαシリーズしか選択肢はない。手振れ補正、サイレントシャッター、高すぎない、という条件で考えてα7R2を買うことにした。軽量な一眼レフと言ってもレンズを含むとズシッと重いし、PEN-Fのように身も心も軽やかな気分にはさせてくれない。ソニーのカメラはとても優秀で決してソニーが嫌いなわけじゃないけど、カメラのデザインは好きになれない。情緒がないというか、味がないというか。そういうわけで、買ってすぐにロゴをはじめボディに施された様々な印字を黒いカッティングシートを貼ってリメイクした。貼ってみると得体の知れない黒い塊になって、なかなかよろしい。みんな持ってるカメラじゃ嫌だ、というマイノリティーな変人には、ぜひお薦めしたい。メーカーに人は悲しむかもしれないが…。

α7R2リメイク

Galaxy S7 edge

PEN-Fと合わせて使っていたライカMマウントのVoigtLander NOKTON Classic 35mm F1.4をとても気に入っていたので、同じレンズをソニーEマウントで購入しα7R2につけて写真を撮る。PEN-Fでは70mmだった画角が、フルサイズのカメラでは本来の35mmの画角になり、世界がぐんと広くなる。NOKTON Classicはオールドレンズのような味を持っていて、周辺光量落ちや4隅の像が流れたりと「欠点」がある。マイクロフォーサーズではセンサーサイズが小さく中心部分だけをトリミングするのでその欠点は感じにくいが、フルサイズではそういった欠点が漏れなく写真に焼き付くことになる。僕の場合、VoigtLander NOKTON Classic 35mm F1.4のお蔭でレンズの欠点をすっかり愛せるようになってしまったので、レンズの癖は大歓迎だ。明るいレンズだからって開放ばかりで撮るのではなく、F2、F4、F8あたりを状況に合わせて切り替えて撮れば、本当に嫌いな欠点を避けて通ることができる。

VoigtLander NOKTON Classic 35mm F1.4 作例03

α7R2 / VoigtLander NOKTON Classic 35mm F1.4

VoigtLander NOKTON Classic 35mm F1.4 作例04

α7R2 / VoigtLander NOKTON Classic 35mm F1.4

PEN-Fとα7R2で大きく違うことの1つに、手振れ補正がある。どうやらオリンパスの手振れ補正はかなり優秀だったようで、α7R2の手振れ補正はそれより劣ることを実感した。PEN-Fでは手振れ補正をオンにしておけば1/8、1/4といった遅いシャッタースピードでも手振れを起こすことはなかったが、α7R2では1/60以上にしないと手振れを起こす。他の機種では試していないので、もしかして「R」がつくラインナップだけかもしれない。解像度は高すぎてデータ量はすごいし、気になるところは色々あるけれど、フラッグシップモデルだけあって画質は素晴らしく、細々した不満も蹴り飛ばせるいいカメラだと思う。

α7R2 / VoigtLander NOKTON Classic 35mm F1.4

大好きな画角50mmのレンズはゆっくり選ぶとして、まずはEマウントのNOKTON35mmを楽しんだ。撮ってみると、ZM、つまりライカMマウントのNOKTON35mmよりモダンな安定感がある。決してレンズの癖がなくなるわけじゃないが、嫌な部分が少なくなった印象を受けた。カメラとレンズのマウントが同じで、アダプターを介さないこともあるのかもしれない。屋外や室内で35mmという画角を使ってみると、意外と調度いい画角だと実感。いや、むしろ素晴らしい画角だ。中途半端な画角だと思っていた自分が恥ずかしい…。そして、35mmのレンズを35mmの画角で撮るという言ってみればあたり前のことが、本来のあるべき状態が予想以上に「しっくり」きた。

VoigtLander NOKTON Classic 35mm F1.4 作例05

α7R2 / VoigtLander NOKTON Classic 35mm F1.4

VoigtLander NOKTON Classic 35mm F1.4 作例06

α7R2 / VoigtLander NOKTON Classic 35mm F1.4

VoigtLander NOKTON Classic 35mm F1.4 作例07

α7R2 / VoigtLander NOKTON Classic 35mm F1.4

α7R2はsuper35mmというAPS-Cのレンズに対応したモードがあるので、それをオンにすれば35mmのレンズでも50mm近くの画角で撮影することもできる。その際、rawデータも軽くなるので花など余分なものをカットして撮影したい場合に便利だ。α7R2は4240万画と恐ろしく解像度が高いので、撮影後の大胆なトリミングも楽しめる。α7R2とVoigtLander NOKTON Classic 35mm F1.4 E-mountの相性はとてもいいようだ。NOKTON35mmは開放近くの被写体深度がかなり浅くて50mmのようにも使えるし、もしかしてレンズはこの1本でいいんじゃないか?と思ってしまうほど。重くてゴツいフルサイズ機を見るたびに、フルサイズと言ってもねぇ…と少なからず敬遠していたが、本来の画角というのは心地いいものなんだと実感した。35mmの画角で設計しているのだから、本来の仕様で使ってくださいね、という設計者の声が聞こえてきそうだ。35mmのレンズを通して見る、35mmの世界は居心地がいい。

VoigtLander NOKTON Classic 35mm F1.4 作例08

α7R2 / VoigtLander NOKTON Classic 35mm F1.4